手稲山、平和の滝 近く│冬の凍った「精竜の滝」は地味だった

今日は冬の山のエントリーアクティビティとして、
手稲山には登らず、平和の滝の近くにある「精竜の滝」に行ってきました。

まず、この「精竜の滝」ですが、あまりにも情報が少ないです。

ネット上で探す限りでは、きれいな写真が載っているが撤退した人の記事

ルーファイをミスってそうなおじちゃんの動画くらいしかなくて、

実際に行ってみて参考になったのはGoogle Mapsのレビューくらいでした。

というのも、この滝は

  • 夏だと藪が酷い上に、沢だから足元も悪い
  • 規模とアクセスなら近くにある平和の滝の方が良い

などの理由から知ってる人も少なければ、わざわざ行く人も少ないという、どマイナーな場所なのです。

じゃあ、なんで行こうと思ったのか、それは私が逆張りオジサンだからです。

なんとなく、「誰も行ったことがない」っていうのは魅力がありますよね。

まあ、一番の理由としては
ソロで冬山ハイキングだと、この辺が一番アクセスも良くて便利だったからという理由です。


エントリー

手稲平和霊園では鹿の群れに会いました

エントリーは「手稲平和霊園」から。
ここまでは、地下鉄発寒南駅から平和の滝入口まで、バスがあってバス終点から20分程度歩くと林道入口に到着します。

公共交通機関がマヒをしていなければ、かなりアクセスが良いと感じました。

冬山ハイクをするなら、滝のすずらん公園とか野幌森林公園とかが電車とバスで行きやすいかなと思っていましたが、ここに来るほとんどの人は平和の滝の方から手稲山に向かっていくと思うので人も少なくてゆっくり楽しむことが出来るかもしれません。(例に上げた二箇所は行ったことがないので想像です)

トレースを辿って林道入口へ

14時。平和霊園からの林道入り口へ。

しっかり寝過ごして昼過ぎになってしまっていたのですが、今回は偵察みたいなノリで、とりあえず現地まで来てみました。

まあ2時間くらい山を歩いて、このところ忙しくて溜まっていたストレスを解消させようという思惑と、
そのイライラ状態でホームセンターに行ったら和カンジキが500円で投げ売りされていたから衝動買いしてしまいました。
ということで今回は、そのテストプレイも兼ねているわけです。

冬山の怖さは私が道民だからかわかりませんが、なぜか身に染みています。
だからこそ、1000mを超える山でも冬は登らない。ハイキングで十分だと思っています。
(そもそも、1500m以上の山を登ったこともないベイビーなので登ることもしない。)

そんなことはともかく。

仕事の休みが少ない事もあって半ば無理やり来てみたのですが、

先客の車が4台も停まっていました。意外と人気のコースなのかと思いながら
ありがたくトレースを使わせていただく事にします。

林道の入り口で、激安カンジキを装着。トレッキングポールを組み立てていざ。
初の雪山ハイキングがスタートします。

すると、すぐに3名の先客が降りてきました。
挨拶を交わして何処まで行っていたかを尋ねてみると、こちらのルートから手稲山へ登ったらしい。

もう既に2時頃だったので、これから手稲山に向かうアホなのかと思われているのを反応から感じます。
私が精竜の滝に向かうと言うと、何かに納得した雰囲気だったからです。

つまりは彼らの反応から見ても、知ってる人からすると精竜の滝は林道の入り口から割と近いところにあるらしいことが想像できました。


錆びついた謎の少鉄橋と砂防ダム

このルートだと良く登場する崩壊した橋もどきも雪に覆われている

またしばらく歩いていると、
インターネットの情報では頻繁に登場していた
宮城沢川に跨る、錆びた謎の小鉄橋が真っ白に化粧をして現れます。

結構、ここまででも感動していて
「これ進研ゼミで習ったところだ!」的な、
インターネットの情報と自分の眼で見た現実を答え合わせしているような感覚でした。

藪こぎしながら沢を遡上していたおさんの動画にも出てきた砂防ダムの看板

そのまま、トレースを辿っていくと
もう一つの目印となる「砂防ダム」のところまでたどり着くことが出来ます。

しかしながら、
向かおうとしていた、左側の砂防ダム沿いの沢からのルートへの踏み跡がなくて手をコマネいてしまいました。

地図上でも入り口から滝までの直線距離は短いので一時間程度で着いて、日没時間の前までには余裕があればビバーク練習するか、帰宅するかの判断ができるだろうと想定していたのですが、

GPSが示すには左の道を行って砂防ダムを横目に沢に沿って少し上っていけば着く。とのことらしいが、
初見の場所。初めての冬山。という条件も重なり、慎重に慎重を重ねて、ひとまずは踏み跡を辿って右側の林の方へ進んでいくことにしました。

それから暫く、きれいな雪化粧をした針葉樹の森の中を楽しみながら進んでいくと
周辺にある沢の案内看板がある宮城沢を跨ぐ箇所に出てきました。

水源かん養保安林

おそらくは精竜の滝はこの辺だろう。そんなふうに野生の勘が働いていてアタリを怪しみ探ったりしたが、GPSが不調で現在地がイマイチわからず。。。

新調したGarminのInstinctが15時を指していて、そろそろ判断を迫られる事となります。


ルートミスで崖を降下

私は、続いていく林道の奥へ進んでみることにしました。

それからすぐに、ショートスキーを履いた老夫婦に会います。
「これから登るのですか?」と訪ねられたので、「清流の滝に向かうんです」と答えると安心と疑問が混ざったような返答が返ってきました。

これは後から知ったが、やはり滝の場所から進みすぎていたようで、
推測するに、もしも彼らが滝の場所を知っていたら、通り過ぎているのにどこに行くのだろうという気持ちだっただろうし、場所を知らなくても「何処のことだろう……?まあ、でも登らないなら遭難はしないか」というような反応だっただろうと推測します。

それくらい近くにある平和の滝と比べて知名度がないスポットなのだと悟りました。

その夫婦と交差してから、もう一度GPSで現在地を調べてみると、ようやく滝から離れていることが判明したわけです。

結果的に日没まで一時間となったところで、また先程の看板の場所まで戻ってきました。
グーグルマップのレビューを参照して、
踏み跡から少し外れた、沢側の落ち込んでいる方を散策すると、トレースから離れたところに赤紐が木に結んであるのが見えました。
今度はそれを目印にラッセルをしながら進んでいくと、高さ3メートルくらいだろうか、崖の方を覗き込むと、ようやく精竜の滝の全貌を見ることができました。

感想としては、想像以上に小さくて、チュートリアルにはピッタリという雰囲気です。


精竜の滝とご対面

この崖を降りた。雪がなかったら怖いかもしれない

今回の目的としては、「正面に降り立って、写真を取るだけ」だったので、

高さ的に3m程度の崖であれば降りてから、再び雪崖を登り返して、林道のトレースに戻って帰るのが一番の安全策だと考えましたが、

生憎、今日はパラコードを入れていたツェルトセットすら、そのまま家に置いてきてしまった。
やはり500円のカンジキとトレッキングポールのみでは新雪でずり滑る雪崖を登り上がることは無理そうだったので、しかたなしに、崖を降りてからは正規ルートと思われる「沢沿いに下っていくルート」で林道もとい先に登場した砂防ダムまで戻ることを決断します。

精竜の滝の氷爆

撤退

さて、冬の精竜の滝は小さくて迫力こそ無いが、しっかりと自分の足で見つけて凍った滝を写真に収めることができたことに、自らの成長を讃えることができました。

さて、気が済んだら帰らなければならない。

氷に注意しながら沢を下っていく。濡れたら一環の終わりだ。

足場となる岩場も雪がこんもりと盛られていて、注意しないと雪しか無い場所を踏み落としかねない。

なるべく、岸側に寄りながら注意深く歩みを進めていこう。

と、いった矢先に

「バキ」と音がして右足が踝くらいまで川の水に浸ってしまいます。

私が履いていたのはモンベルのアスペンブーツだったので、浸水することなく済みましたが登山靴であったら間違いなく浸水するほどの深さだったと思います。

防水もしっかりしているので靴自体は濡れることはなかったのですが、和かんじきの綿紐に水分が含まれてしまい雪が纏わり着いてすぐに凍っていきます。足元が重たくなりスピードは落ちたが、それで済んだだけでも不幸中の幸いでした。

安心の赤い色の砂防ダム

なんとか、氷の張った沢沿いを歩き抜いて、目印となる赤い砂防ダムのところまで来ました。

このまま進んでいけば再び最初に見た看板がある砂防ダムが現れて、30分程度で元の林道に戻ることができるはずです。


テントをひっくり返される

砂防ダムの傍らで休憩

日没こそ迫っていたが、安堵感でアドレナリンが切れて疲労が一気にきたので、この赤い砂防ダムの近くで休憩することにします。

こんな時のために買った折りたたみのArvaのアックス ショベルで雪を均して平地を作る。

今回は雪上での設営練習も兼ねた行動だったので、シェルター テントはスノーピークのファル Pro.air2のフライシートだけを持ってきていました。

とりあえず設営は出来たが、雪中用ペグの用意がなかったので風が吹かないことを祈りながら、
岩谷のシングルガスバーナーでパスタを茹でて玉ねぎとピーマンとソーセージを突っ込んで即席ナポリタンソースで、半生野菜ナポリタンを食べた。

それから珈琲でも飲もうともう一度お湯を沸かしているときに事件は起こる。

強い吹き下ろしの風さんが下の僅かな隙間からテントを掴んで、ちゃぶ台返しのように下から上にひっくり返してきたのだ。

一応にもトレッキングポール、ミニスキーなど手持ちのアイテムで固定を試みようとしていたのだが、
他にペグ代わりに雪に刺していた、ポーランド軍放出のステンレス製フォークも一緒に吹き飛んで見失ってしまった。

もうすでにテントがひっくり返された時点で気持ちが萎えていたのだが、お気に入りのフォークを紛失したと判明したときには撤退を判断しました。

急いでザック(DoDの布製背負子みたいなやつ)に荷物を突っ込んで纏めて、これ以上に天候が酷くならないように祈りながら、早々とその場を去ります。

帰りのコースはわかりやすくて、すぐに最初の砂防ダムが現れて進むかどうか迷った林道と沢沿い道との分岐地点に着くことが出来て安堵しました。


反省

二個目の砂防ダムから精竜の滝へのルート(実際に歩いたGPS情報)

今回の反省点としては沢山ある。

そもそも、雪山に対して経験がなかったのもある。

今思い返してみれば、なんでアルストじゃなくてガスバーナーを持っていったのかわからないし

私の場合は教えてもらっても、実際に経験しないと理解して学べないので失敗する前提だったのもあるが、ちょっとだけ無理をしたな、と反省すると同時に

精竜の滝へのルートはインターネット上に上がっているものだと基本的に藪こぎで大変というのが目に見えていたので、雪の積もる時期しか行くことが出来ないという条件もありました。

それでなんとか滝を拝むことが出来たのは幸運だったと思います。
(といっても、林道入口からそう遠くないので興味を持った方は是非参考にしてみてください。)

兎にも角にも、来春には何処かに消えたフォークを探さなければならないので、楽しみが一つ増えたと思っておくことにします。

もくじ